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 色彩の忠実な再現という問題は昔の絵描きにとってさしたる問題ではなかった。そんなことはどうでもよいことだったので、忠実度が技術的に追求されるようになったのは、写真の世界に色が入り込んできて、色刷り印刷が盛んになったこの数十年の間のことではないだろうか。
 色をつかまえ再現複製するために、これまで物理学や化学の種々雑多な技術が寄せ集められ、統合された結果、今日我々の周囲は色の付いた刷り物や画面の洪水となっている。便宜的に赤、緑、青の光の濃度の組み合わせとして、あらゆる色を創り出し、一方でその補色の顔料の組み合わせが紙や諸々の物体の上に刷り込まれ、好みの色彩を反射させる。
 かつて、木版印刷全盛の時代には、五百数十色刷りという正統派の正義があったが、いまではたった3〜4種の色ですべてを表現してしまおうという横着な精神が、いわば近代印刷技術の正義として崇められ、横着精神の追求というまわりくどい解決方法に電子技術は大きな役割を果たし、そのついでに素人でも高級な色彩刷りの出来る安価なプリンターを生み出した。
「先生、なぜRGBのインクを使わないのですか?」という質問をあるところで受けて仰天した。
 そうだ、まわりくどい方法だが、それがいちばんいいかもしれない。(tan)


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