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コダックシグマの場合


株式会社コダックシグマは、E-6処理を柱とするプロラボとして知られている。今回は、デジタル営業部技術課の新井悟課長に、プロラボとしてのデジタル処理の捉え方等をおうかがいした。

編集部(以下編):デジタルが写真家やプロのカメラマンにどういった影響を与えつつあるのか、今後デジタルはどういう風に変わっていくのか、ラボの現状を含めてお聞かせ下さい。
新井課長(以下新):弊社がデジタルを取り込み出したのは6年くらい前からになります。それまでは銀塩のみで、E-6を中心とするラボだったのですが、やはりデジタルの波が来まして、画像処理をはじめるようになりました。コダックのプレミアという画像処理システムを導入しまして、修正や合成の仕事がメインでした。3、4年前からは、お客様がマッキントッシュ等のPCで画像処理をやられる様になり、入力と出力のサービスもはじめました。
編:プレミアというのは、ワークステーションですか?
新:そうですね。入力機と出力機、ワークステーションをシステム化したものです。
編:現在はマックやウィンドウズでの処理もされているようですが。
新:そうですね、ここにもマックがたくさん入っています。
編:6年前の需要は、主にどういった所からでしたか。
新:弊社のお客様は圧倒的にカメラマンが多いので、カメラマンからの依頼やプロダクション、デザイナーが多かったです。
編:使われかたはやはり電線消しなんかでしょうか。作品制作にデジタルをというのは?
新:コマーシャルベースの仕事が多いので不要物の消去なり、物撮りしたものの合成とかが圧倒的に多いです。
編:入力はポジをスキャンして出力はまたポジにもどすのですか。
新:そうです。
編:入稿がまだポジなんですね。デジタル入稿についてはいかがでしょうか。
新:デジタルで入稿というのは、最近徐々にですがそういう需要が増えてきていると思います。弊社はデジタルといっても銀塩がらみの入口がフィルム、出口もフィルムというような形態がほとんどなんですが、それに変わってフィルムのスキャニングだけお客様に渡して、お客様がそれを加工してポジ出力せずにデータを入稿されるケースが増えてきているみたいです。
編:デジタルは今までは電線消しや合成とか、コマーシャルベースだったわけですけど、作品として使えるレベルのものとして利用され始めたのは、いつ頃でしょう。
新:フォトCDが認知されてからはそういった動きがかなり出てきてると思います。
編:こちらでは、フォトCDの入力もされていますか?
新:ええ、やっています。
編:若い方が多いですか
新:一概にはいえないと思いますが、カメラマンの方はデジタルを多く取り入れている方と、全然取り入れてない方と両極端だと思います。
編:どういう理由からでしょう。
新:先々はデジタルがらみの仕事がどんどん増えてくるという考えのカメラマンがほとんどだと思います。しかし、やり始めているかいないか、両極端でしょうか。マックで加工して納めているカメラマンや、デジタルカメラを使ってそのままデータを納品されているカメラマンなどもいますが、差はかなりあると思います。 
編:いずれは避けて通れないという感じですかね。
新:そうですね。認識はされていると思うんですよ。
編:デジタルを取り入れ始めたカメラマンの、現状に対する不満や認識はどうでしょう。デジタル入稿したいのに、印刷会社や編集社がデジタルに対応していないことがあるみたいですけど。
新:うーん。やはりカラーマネージメントの問題が大きいですね。その場所ごとのリファレンスというものはあるんですが、やはりそれ全てに対応していくというのは難しいと思います。それが解決されれば、デジタルというのは爆発的に進むと思いますよ。
編:こちらでは、カラーマネジメントはどのように行っているのでしょうか。
新:弊社にて入力と出力をするものに関しては、正しいカラーマネジメントが可能です。しかし、お客様が入力して持ってこられるものに関しては把握しきれないのが現状です。ですから、事前にキャリブレーションをとっていただくことを薦めています。
編:こちらで「こうカラーマネジメントをするといいですよ」というガイドラインを教えていただけるのですね。
新:フィルムとデータをお渡しして、方法などをこちらから教えるケースもあります。分かっていらっしゃる方には「こうすれば、よりシビアにマネジメントできますよ」という情報提供なども行っています。
編:モニターの色の統一は全く出来ていないのが現状ですからね。
新:そうですね。フィルムの再現性をモニターに求めても、そこには明らかな差がありますから、難しいと思います。ですから、いかに色が近い環境で仕事をするかが大切だと思います。弊社で入力/出力をしていただくお客様には、色の保障をいたしております。オリジナルなどを添えて頂いて、こちらで全て揃えなおしてお渡しするという形もとっています。出力のみのお客様には、お客様のスキャナーと弊社の出力機のカラーマネジメントが正確に出来ませんので、お客様側で調整して頂くようお願いしております。
編:デジタルを作品制作に役立てている作家の方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。
新:弊社は主にコマーシャル関係ですので、あまり多くは把握していませんが、長くお付き合いをさせていただいている方もおられます。
編:今後はどうでしょうか。
新:弊社でも、ISDNを使ったデータのやりとりを計画していますし、コダックからは新しいシステムが出てきますので、この流れはますます加速されると思います。
編:今日はお忙しい所、ありがとうございました。

取材を終えて
やはり、ここでもカラーマネジメント、カラーキャリブレーションの問題が提起された。これ程長きに渡って問題視されていながら、未だに解決を見ないというのはいかがなものだろうか。新井課長もおっしゃっておられるように、これが解決すれば普及は加速されるだろう。作品制作をする上で、非常に大きな問題だ。某氏ように、入力から出力まで、全ての機器を購入するわけにはいかないのだから。


Reported by AkiraK.