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コンペの現場から

女性12人、男性1人が一次審査通過

 第8回写真ひとつぼ展グランプリのゆくえ

東京・銀座ガーディアン・ガーデン
 出品者の見守る中、審査員の白熱した議論が交わされ、大勢のギャラリーの目の前でグランプリが決定する。東京・銀座ガーディアン・ガーデンの「写真『ひとつぼ展』は第8回を迎え、11月5日(火)PM5:30の公開審査でオープンする。多くの写真コンテストのなかで、出品者は圧倒的に若い人が多いことがこの「ひとつぼ」展の特色であるが、今回は多数の応募者の中からポートフォリオ審査で一次の審査を通過したのは13人で、そのうち女性が12人を占めた。この13人の作品は与えられた3.3平方メートル(ひとつぼ)のスペースに各自の構成によって展示され、第二次の公開審査に臨む。第7回展(5月7日〜5月24日)から約半年(締切は7月16日)という短い期間にもかかわらず、前回に引き続いての一次通過者が2人いる。「JUNK」(前回)から「Rusted colours」への田中美帆さん、「臨海地区にて」から「矩形の海-環東京湾計画京浜編」への水口みほさんである。オーソドックスな対象に迫るこの2人の力強い作品が、続々現れる新しい表現の中でどう生彩を放つかが見どころであり、楽しみでもある。
 IPMJでは、このページで公開審査結果を速報として出来るだけ速やかにリポートする予定である。楽しみにされたい。 谷 博


ひとつぼ展結果速報




写真ひとつぼ展 一次審査通過者

飯島愛 IIJIMA AI
1971年生れ アルバイト
MELLOW NOISE

その時、自分が気持ちいいなぁ、と思ったものを撮っていて、モノも人も空気も心地良い音も、みんなあって初めて“自分”になる気がする。好きなものがあるから写真を撮る。好きなものを見せたい人がいるから写真を撮る。いま現在は、こんなに心地良く穏やかでいられる。

伊藤真理 ITO MARI
1964年生れ フリー翻訳、通訳、カメラマン
ASIAN FACES 2

5年間中国少数民族や農村部の人々の写真をとり続けています。事実を最優先する報道写真ではなく、構図の美しさや被写体の表情を大切にしながら主観的に撮っています。刺激的で過激な写真が多い最近の風潮の中で私の作品はおとなしく、地味で古めかしく見えるかもしれません。しかし、一般の方が見てホッとできるような暖かい写真を撮っていきたい。理屈抜きに、被写体と共感してほしい。

大栗恵 OHGURI MEGUMI
1972年生れ 日本写真映像専門学校教員助手
真実の中の虚構

日常生活の中には矛盾や理不尽が現実として存在する。その感覚の歪みから違和感が生まれて来る。例えば自分の意志で社会の中を行動して行く時、振り返って見ると私の考える人生観と違っていたりする。その時、真実の中に見える虚構から違和感を感じる。この感覚を空間意識の中で表わそうと、平面上での表現という概念に捕らわれず、視線の移動から生じる、変化による空間造形として虚像のイメージを持つ影を使って表現した。

小野博 ONO HIROSHI
1971年生れ 多摩美術大学美術学部彫刻科卒業
hyphen

様々なラジカルな問いかけをしてくれる90年代の世界に対して私は明確な価値判断を未だ持ち得ていない。逆にその事が私の人間/事物との関係性を決定付けている。覚醒された世界中の人間/事物との映像は、90年代のリズムで地理を超え強く結び付いている。この場と場が交錯する映像群が世界そのものを思考/認識する過程にパースペクティブを与える役割を果たし、その思考/認識がより現実なものになればと考えている。

スズキユミ SUZUKI YUMI
1975年生れ 多摩美術大学グラフィックデザイン専攻3年在学中
REAL PORTRAITS

ポートレイトを撮り初めてからの私は、被写体の彼女たちの虜だった。数カ月後、全てを彼女たちに頼っている私に反して、その写真だけがひどく自立しているのに気が付いた。それからもしばらくは虚無感でいっぱいだったのに、何百枚もの同じような写真を撮ってきた。私はそれが自分の収集癖によるものなんじゃないかと疑ってみたりもしたけれど、結局、私を救ったのは、その写真によって浮上してくること―彼女たちが仮面で覆っていたネガティブでリアルな世界だった。

関口由紀 SEKIGUCHI YUKI
1966年生れ フリー

スコットランドで写真の授業 6C組「心理テスト」
「スコットランドで写真の授業をしませんか」という話がきた時、私はぜひその中で心理テストをしたいと思ったのです。「マンダラ・ペインティング」と「バウム」シンプルなテストへの様々な答えは、1人1人のこころの中にある小宇宙をほんの少し見せてくれました。

田中美帆 TANAKA MIHO
1973年生れ 多摩美術大学グラフィックデザイン専攻4年在学中
Rusted colours

手のひらで覆いかぶさるくらいのさびの密集が、ある日私には1枚のPaul Kleeの絵に見えました。赤いさび、黒いさび、そして緑しょうが冷たい鉄の表面を覆って不思議な形を織り成しながらその色味を強めていく。そんな自然の時の流れからできたさまざまな‘さびのいろ’を御覧下さい。

中野愛子 NAKANO AIKO
1968年生れ フリー
Hey!!フランク〜っ!!!

ちょんぎっちゃうぞ〜っ!!!

原美樹子 HARA MIKIKO
1967年生れ
Is as It

私は、私のまなざし――ドコデモナイドコカ イツデモナイイツカ ツカノマノダレカノケハイ ソソグヒカリノニオイ――その先にあるものを知りたく思うのです。

松本由喜子 MATSUMOTO YUKIKO
1961年生れ
dazzle“光を放つように”

雨が降り、路面が光ったな,と思うとカメラを持って走ります。街をぷらぷら歩き、ビルを眺め、あの光はなんだろうと思うと走ります。自分が光を捜しているのか、光が呼んでいるのかわからないのですが、今は、うすく碧い光に会いたいです。

水口みほ MIZUGUCHI MIHO
1969年生れ
矩形の海―環東京湾計画京浜篇

地図を片手に街から海へ行く。空港、工業地帯、貿易港、軍港、発電所、あらゆる都市機能の突出部。一区画が大きく、空が広くなることで、そこが海近い場所だと分かる。唐突に、水路のように目の前が海になる。幾何学形の海岸線が沖に伸びる。風が強いのに潮の香りがしない。どこまで行っても砂浜がない四角い海。こんなに沢山のものがあることが頼もしくなり、かつての風景を偲ばせるものが何もないことに淋しくなる。

森崎恵美子 MORIZAKI EMIKO
1975年生れ 武蔵野美術大学空間演出デザイン学科3年在学中
そこに吹く風

「写真をとられると、魂まで吸いとられてしまう。」と、昔の人は思っていた。もしかしたら、それは本当のことかもしれない…。野原を駆け抜ける風の音も、熟した果実の甘い香りも、そしてそこに生きる人間達も。この星にあふれる魂を、私はカメラでお腹いっぱい吸いまくる。魂だっていろんな味がする。でも今度はちょっと、不思議な味のする所。甘くてからい。ほろ苦くてしょっぱい。そんないろんな味の国。それがインド。

湯浅弘子 YUASA HIROKO
1974年生れ 武蔵野美術大学空間演出デザイン学科4年在学中
旅写真

見ること、出会うことへの興味が私を旅へとむかわせました。心には、創ることや生きることについての、何だか取り留めのない迷いやオモイを抱え込んだまま、ただひたすら歩き続け、そうしていくうちに、バシバシと音をたてて心にぶつかってくるものに対して、私は、シャッターをきっていたようです。