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MOLE / ART SPACE CORE / Donatello's
「8月の午後、ミニ・ギャラリーで」 谷 博
写真の消費市場、需要と生産、供給、流通形態など、純粋に経済的要因と構造を考えてみると、その複雑さに途方に暮れる思いがする。
流通消費構造から観ると、写真は歴史の古い美術、工芸とはだいぶ違っていて、どちらかというとマスメディアにおいて大量に消費される点、小説や詩歌などの文芸作品に近い。それどころか、文字以上に、物に近い。
だから、大量消費のラインに乗せてしまうことが写真を職業として成功させる大切な要素であることは、工業製品などの生産物と同じだ。
コピーがたくさん売れれば結構、very happy なのだ。
だが、満たされるべき欲望の身代わりとなり、果たされなかった願望の残骸として朽ち果てる汝らの儚い命。それはマス・マーケットに消えゆく写真の哀しい宿命だ。
だがこちら、街のミニ・ギャラリーでは、いささか趣が違う。
写真は静かな光を放って佇んでいる。
“どうぞわたしを観て! お気に召したら買って頂戴!”
“あなたのお部屋にいつまでも置いて下さいな”
8月の午後、暑い陽射しを避けてミニ・ギャラリーにお立ち寄り下さい。
生きの好い写真があなたのお出でをお待ちしています。