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●ハーフ判
 ハーフ判というのは、35ミリフィルムの1コマを半分にした画面という意味なんだ。35ミリ判の画面の大きさは24×36ミリだから、ハーフ判の画面は24×18ミリということになるわけ。もともとこのハーフ判というのは映画の1コマの画面の大きさだから、シネサイズなんて言うこともあるんだ。35ミリ判カメラの創始者であるオスカー・バルナック(ライカの発明者)が映画の画面の2コマぶんを1コマにしてスチルカメラに使ったのが始まりだ。だから、35ミリ判の画面というのは映画の画面から見ると、逆にダブルサイズっていうことになるね。で、ハーフ判のスチルカメラだけど、1960年代に日本ですごく流行したことがある。オリンパスがペンというカメラをヒットさせて、それで各メーカーがいろいろなハーフ判カメラを出した。ところが、当時のフィルムの性能がまだ不十分だったのと、海外市場ではあまり流行しなかったんで、いつのまにかだんだんブームは下火になってしまったんだ。とくに、後者の理由は、輸出主体だった日本のカメラ産業にとってはけっこう大きかった。日本の現像所はきめ細かいサービスで、ハーフ判にも対応してくれたけど、アメリカなどの現像所では面倒くさがって、あまり乗り気じゃなかったわけ。ところが、ハーフ判は1980年代になって、京セラがSAMURAIっていう名前の一眼レフでリバイバルさせた。かなり人気があったんだけど、ほかのメーカーが作らなかったことと、やはり海外市場の問題からけっきょく2度目のハーフ判ブームは起きなかった。いまはフィルムの性能がすごくアップしているんで、画質の点ではまったく問題がないんだけど、やっぱり海外市場が動いてくれないときびしいようだ。オリンパスのFTシリーズというハーフ判一眼レフのリバイバルを待望する声もかなりあるんだけど、残念だ。


写真1 ハーフ判はこのように35ミリの画面を半分にしてる。だから、こういう写真を撮るとけっこう面白いよ。


写真2 いまはフィルムの性能がいいから、ハーフ判でもこんなにきっちりとした描写になる。



●高級コンパクトカメラ
 ここ数年は「高級コンパクト」って呼ばれる35ミリ判カメラに人気が集まってる。コンパクトカメラの中でも、レンズの性能を一眼レフなみにして、露出の精度もアップし、さらに絞りを自分で選べる機種も多い。また、ボディーの外装をチタンなどの金属製にして、高級感を出すと同時に持つ喜びを与えてくれるカメラだ。もともとは、京セラのコンタックスTがパイオニアだけど、同社のコンタックスT2がブームの火付け役になった。ニコンが35Ti、あとになって28Ti、京セラがコンタックスTVS、コニカがヘキサーを出した。さらに、去年から今年にかけて、ミノルタがTC-1、リコーがGR-1を発売して、あいかわらず高級コンパクトカメラブームが続いてる。フジのティアラズームも価格はふつうのコンパクトカメラなみだけど、レンズの性能は高級コンパクトカメラに負けず劣らずだ。写真3と写真4はどちらも高級コンパクトカメラで写したものだけど、一眼レフなみといっていいぐらいの素晴らしい描写だった。これからも高級コンパクトカメラブームは続くだろう。


写真3 ズーム付きの高級コンパクトカメラで撮影したもの。ほんとにシャープで、露出もぴったりだった。オリジナルはカラーポジ(リバーサル)フィルムで、露出がむずかしいんだけど、現像があがってびっくりしたぐらいの適正露出。


写真4 広角28ミリレンズ付きの高級コンパクトカメラで撮影。スペインに行ったときのスナップだけど、これも一眼レフなみの描写だ。青空がバックに入っていて露出もけっこうむずかしい条件なんだけど、これもバッチグーだった。