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10月7日 小宝島

 4:20起床。身仕度を整え船を待つ。風は強いが雨は上がっている。朝日は拝めそうもない。
 定刻に船は出、私は朝食(パンと自版機のカップ麺)を食べ、眠ることにする。揺れがすごく、船底がバンバン波にぶつかっている。何かにつかまらないと歩けない。ただし、酔う前兆はカケラもなかった。
 中之島を過ぎ、平島で問題発生。ちっとも出港しないので天候待ちかな、と思ったら、なんと荷揚げ装置の油圧故障。1時間半も停滞する。
 諏訪之瀬島を過ぎ、悪石島に着いた所で、すかさず昼食を採る。揺れながら食うのは出来れば避けたい。自版機のお好み焼きと無料のお茶。小宝島には食料品店がない可能性が高かったので、なるべく手持ちの食材には手をつけないようにした。
 そんなこんなで、小宝島には13時過ぎに到着。
 自転車を下ろしてもらった人に、「これ、名瀬からも金払ってないでしょ」と指摘された。今まで何も言われなかったので無料だと思っていたのだが、そうもいかないらしい。明日また乗ることになるので、その時に話し合うことになった。自転車の運搬費だけで、今までで5千円は超えるらしい。うーむ、バラして輪行袋に入れて持ち込むか!?(そうすれば無料だけど大変!)
 小宝島は、周囲3.2km、1平方キロの小さな島。人口は40人。最高峰でも103m(2階建の家が一軒だけあるんですよ、とは、後述する某嬢からの情報)、島内一周道路は徒歩でも30分だそうだ。
 天候は曇。当分雨の心配はなさそう。ただし、船内で見たTVによると、夜は雨らしい。確かなことが全然判らないのは、鹿児島と那覇と大東島の予報から予測するしかないのだ。降水確立、那覇70%、鹿児島30%。
 港近くの待ち合い所に行くと、荷物持ち込みおよび泊り禁止、水使うなら500円と書いてあった。ショックである。
 あきらめて立ち去ろうとすると、船のタラップをフォークリフトで運んでいたオッチャンが声をかけてきた。500円払えば中で寝てもよいと言う。ぜひ、おねがいします、です。
 島内を一周道路を巡る。
 楽しみにしていた湯泊温泉の露天風呂は、2つ共(透明湯と乳白色湯)熱すぎて入れなかった。バケツでもあれば海水を足したのだが。
 仕方がないので小宝温泉センターへ行く。
 鍵は空いているのだが、誰もいない。
 ま、いっか、と、入浴。と言っても、湯船に3/4ほど張られた温泉(茶色い沈殿物が溜まった透明湯)は冷めていた。バルブを開ければいいのかも知れなかったけど、気が引けたし、暑かったのでそのまま浸かる。
 洗い場はシャワーもあってお湯も出た。久々のまともなシャンプー。
 小学校では運動会の練習をしていた。
 郵便局と診療所(医者がいるかは不明)はあったが食料品店は見つけられなかった。こちらのお店はほとんど民家のままなので、あったとしても判りにくいのだ。
 ひと回りして船の待合所に戻って来ても15時半だった。
 洗濯をし、待合所内にロープを張って干した。明日朝までに乾くとよいのだが。(結局短パンは乾かなかった)
 待合所の裏手が土木事務所になっていて、重機の音が夕方までずっと続いていた。
 待合所内には漫画や小説が100冊くらいあり、それを待合所前の階段に座って読んで過ごした。ただし、蚊取線香は手放せない。風があるので効きが悪くていくつも刺されたけど。
 夕暮れ、だんだん空が赤くなってきた。
 待合所前のゆるやかな坂を下ると船付場である堤防へ出、そこからだと夕日がよく見えるはずだった。しかし、読みかけの本を明るいうちに読み終えたかったし、雲が多かったから、水平線に沈む太陽は見えないと思っていた。
 ふと見ると、25歳くらいの女性が前を横切って堤防の方へ坂を下って行った。互いに「こんにちは」と挨拶しただけだった。
 堤防まで下りて行った彼女は振り返り、「すごく奇麗ですよー」と叫ぶ。
 わたしもノコノコ出掛けて行って、水平線に沈む赤い夕日を見ることが出来たのでした。
 彼女は何か用があってそこへ来たと思っていたので、邪魔しちゃ悪いと思い、話もしないでもとの待合所前の階段へ戻った。しばらくすると、彼女が戻ってきた。ただ夕日を見に来ただけらしかった。集落まで徒歩だから10分くらいかかりそうなのだが、そこがベストビューポイントなのだろう。
 前を横切って帰る彼女に、いきなり「この島に住んでいるんですか?」と問い掛けた。わざわざ夕日を見に来るくらいだから旅行者だと思ったのだ。
 だが答えは予想に反してイエスだった。
「いつまで島に?」と聞かれたので、「明日の朝の船で諏訪之瀬島へ行きます」と答えた。
「あした運動会なのに残念ね」
 なるほど、そう言えば今日練習風景を見た。
「ほんとうは3日前にやるはずだったんだけど、天気が悪くて」
 とのこと。運動会は島の一大イベントなのだろう。
 食料品店の事を聞いたら、飲み物しかないという。しかも冷えていない、と付け加えられた。うーむ、明日行く諏訪之瀬島にも食料品店がないと、ご飯にフリカケの生活が始まるゾ。
 と、話はこれだけである。
 何かドラマな展開を期待しました?
 引っ張ってすまぬ。今日は話題に乏しいのだ。
 今思えば、彼女は学校の先生ではなかったかと思う。完璧にヒヤリング出来たのだから。(標準語だったのだから当たり前だけど。でも、だんだん標準語に飢えてくるのよ)
 その後、お馴染みの夕食を作って食べ、ヘッドランプの明かりで本を読んだり、月明かりで散歩したり、原稿を書いたりで、0時頃寝た。
 寝床は木製のベンチだけど(電気は止められている)、虫がいなくて快適だ。少々暑いけど。(ずっと閉めきってあるため、中の虫は干からびて死んでしまうようだ)

湯泊温泉。すぐ近くに乳白色温泉の浴槽もあったけど、そっちも熱くて駄目