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やはり、水辺にでかけてしまうことが多い。
水を見ながら歩くと疲れないと、この前川本三郎さんが言っていた。
橋と運河の町で育ったわたしにとって、特に水辺の出来事は思い深いものが多い。美空ひばりの「川の流れのように」ではないが、季節の移りかわりも、自分のささやかな成長も、みんなそこにあったような気がする。
東京の多くの河の水が美しくなってしまった頃から、河には風景らしい風景が無くなってしまったようだ。煙突も、工場も、オアイ船も、犬や猫の死骸も、お盆のマコモにくるんだお供え物も、衛生サックも、みんな水辺の生活だった。
新しい親水公園やお台場のような風景が好きになれないのは、そこに人間の淀みや、日々の澱のようなものを寄せつけないように「配置」されているからだ。もう一度、ゆったりとした時間と空間を取り戻すべきだと思うのだが。
このところ、どうも昭和30年代の景色に夢中になりすぎているからなのだろうか。ぐちが多い。
大西みつぐ
1952年 東京生まれ
1974年 東京綜合写真専門学校卒
1985年 「河口の町」で第22回太陽賞
1993年 「遠い夏」で第18回木村伊兵衛賞
写真集に「WONDERLAND80-89」。個展多数。
東京綜合写真専門学校講師、東京カメラ倶楽部会員
データー:Apple QuickTake100 &150