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新機種続々々・・・だが、果たして・・・


流浪のエンジニア
青木 康雄 (yaoki@yk.rim.or.jp)


今回も、普及型デジカメの話である。 実は、IPMJ のあきらけいさんには、いつも原稿の締切りの催促をいただき(数日遅れでごめんなさい)、かつ、いつも個人的ヨタ話ばかりを書いてしまっているので、今回ばかりはもっと有意義な話・・・・自分で調達できたデジカメ比較記事とか、あるいは、もうデジカメの話題はやめて、自分のカメラに対する想いなどを書き連ねようか(余計につまらんぞの声が・・・)とも考えていたのだが、やっぱ今回もデジカメネタだ。


私は、以下のようなデジカメの発売を緊急に希望する!!
■大きさ  Kodak DC20 以内。
■レンズ  135 フィルム換算で、30-40mm ぐらいの単焦点でいい。
■液晶   背面に装備。もしくは、おしゃれで持って苦にならない、
      しかも DC-1S みたいに無理矢理付く形でなく、エレガン
      トに接続可能な外付け。
■画素数  おいらは VGA でいい。DS-7 の色再現をそのままに、DC-1S
      程度の分解能が欲しい。2M のスマートメディアで 20/40 
      枚切り替え。
■ストロボ 外部シンクロ接点あれば、なくていい。滅多使わない。
      ガイドナンバー5ぐらいの、小型の電源内蔵型ストロボを
      用意するのもいい。
■電池   専用でもいいけど、連続で半日以上稼働すること。
■メディア 当然スマートメディア(旧名:SSFDC)だ。シリアルがあっ
      てもいい。


デジカメが庶民のものになってから随分時間が経過した。最近では、SONY DSC-F1 や Olympus CAMEDIA など第三世代と言ってもいいような商品もリリースされはじめたが、なんか違う。いいかげん、『これは!』と思える決定打がでてきてくれてもいいと思うのだが。

Kodak DC25 に対する失望感

フジの DS- もそうだが、やはりフィルムメーカーが作るデジカメってのは、なにか違う。コダックもしかり。色の再現性は実によく、あのお気楽 DC20 でも、色再現を見ればかなりの実力派だ。

はじめにお断りしておくが、これは個人の趣味の問題。

正直私は失望している。画像が素晴らしいだけになおさらだ。あれが、Kodak DC30 だったら話は違っただろう。DC25 というからには、DC20 の上位バージョンって位置付けなのだろうが、DC20 の最大のチャームポイントであった『コンパクトさ』が見事になくなってしまった。
リムーバブルなメディアを装備したことはもちろん歓迎だ。ストロボ内蔵もまぁいい。が、液晶を付けてしまったがために、大きくなってしまった。誠に残念だ。デジカメに液晶モニタは必須であるという意見に私も賛成だし、私自身、液晶モニタつかないものはデジカメであらず・・・という思想の持ち主だ。だが、DC20 には、それでもいいと思える魅力があったのだ。そう。『コンパクトさ』である。現時点において、普通にワイシャツの胸ポケットに入れる気になる唯一のデジカメが、DC20 である。現に私も一時期所有して使っていたが、撮影枚数の問題があって手放してしまった。オプションでメモリアダプタも発売になったが、なんとも野暮ったい。DC20 にスマートメディアが入れば、これはすごいぜって思っていた。DC20 の後継機でもしかしたら実現してくれるかもしれないという淡い期待もあった。が、ご覧の通りだ。

独自の道を歩むヤツが、ひとつぐらい有ったっていいじゃぁないか。


画像解像感を高めた FUJI DS-8 だが・・・

11月15日発売予定の、FUJI DS-8 であるが、幸運にも試作機を試用できる機会が得られたので、すこし使用感をレポートしたい。

まず、画質であるが、以前から指摘されていた、エッジ部のギジギジがかなり減少しており、見た感じ解像感の高い画像になっている。

詳しくはこちらを参照のこと。

画角がせまくなるエコノミーモードは廃止され、DS-8 からは、新たにファインモードという、2M のスマートメディアで 20 枚撮影可能なモードが採用された。ノーマルモードに比べて圧縮率を控えた高画質モードである。 ただし、輪郭強調処理が弱めで自然な絵つくりの DS- 系の画像は、もともと画像の周波数がそんなに高くならない傾向のためか、JPEG 圧縮には向いている画像であると言える。よって、ノーマルモードとファインモードの画質の差も、思ったほど顕著ではない。

色再現性については、DS-7 を継承した作りになっており、相変らず素晴らしい。残念ながら、今回の試写できた日は曇りがちであったため、色の冴えない画像であるが、これは致し方ない。その分勘案して見て欲しい。

使用感はかなりよくなっており、DS-7 でのユーザーの声をかなりフィードバックした仕上がりだ。以下に、DS-8 で実現された点を列挙しよう。

他にも電池室接点形状の見直しによる電力ロスの低減努力や、標準でニッカド電池&充電器をバンドルするなど、いろいろ対策を講じている。

DS-7 で感じていたユーザーの不満が、相当改善されての DS-8 であると思っていいだろう。一般の、多くのユーザーにとって、これは歓迎される改良だと思う。

が・・・・

はじめにお断りしておくが、これは個人の趣味の問題(しつこい)。

私は、DS-8 試作機を使い、その画像を見て、なんだか複雑な心境であった。

たしかにギジギジはなくなって、色はそのままで画像の解像感は向上している。が、なんなのだろうか。DS-7 に比べてなにかが確実に消滅している。私は私なりにいろいろ考察してみた。そう、『味』である。

どうやら自分の好みとしては、DS-7 の作りのほうが性に合うようだ。ただ、これは、あくまで好みの問題なので、多くのユーザーは、解像感が向上し、ファインモードを備えた DS-8 のほうがよいと思うハズである。この私の心境は、実は銀塩カメラのレンズにも言える。例えば、解像度命で、ギンギンに解像する現代の最新レンズよりも、人間がちゃんと設計した、映像に味を感じる戦前〜1960年代のレンズのほうが好きという心情に同じである。さらに言えば、今どきのカメラで撮影した写真よりも、よく調整さえたピンホール写真や、ベス単のなんとも言えない写真の持つ味に魅力を感じる・・・言葉ではうまく言えないが、写真が持つ表現力は、解像度とか、分解能とか、そんなこざかしい数値を超えたところにあって、デジカメの中でそれを感じた唯一の機種が DS-7 だったような気がする。実に非論理的な説明で、「こいつぁ全く何を言っているのかわからん」状態だが、そうとしか説明できないのである。

ユーザーというものは我がままだ。特に私のようなユーザーは、メーカーにとっても頭が痛い存在だろう。ああすればこういう。まさに屁理屈こねまわしである。

しかし、人間が使うものであるからして、当然ひとつの解でみなおさまるハズはない。それがまた、この世界の面白いところである。



私はデジカメに非常に大きな期待を持っている。それを実現してくれるのは、一体どこの誰だろうか。デジカメの明日にさらなる期待を秘めつつ、原稿を e-mail であきらけいさんに送って、さぁ寝ることにしよう。

1996年11月4日、2時20分。
今回も原稿4日食い込み。ごめんですぅ。