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評 大西みつぐ

下城 仁志

 大阪は中州で撮られたこの写真が、「暑中見舞い」に合わせて撮られたものでないことは一目瞭然だ。「メッセージ」のための単なる付け足しでしかないというのがまず残念。デジタルカメラを持っているのだったら、もっと自由に身辺を撮ってみたらどうだろうか。写真だけで、十分「暑中見舞い」になるような写真だって考えられる。狭いインターネットの画面の中で、どれだけ「写真」として主張できるかが大きな課題だと思う。

五味 守(MaMORU) 「代官山スケッチ」より

 五味さんの「写真」(多分スキャナーでしっかり取り込んだのだろう)はとても好感のもてるものだ。「自分」が写したということを声高に叫んでいない。写って、そこに存在しているという事実を静かにすくいあげているだけだ。そして、それを「フンイキ」といういいかげんな器に入れていない。こうした態度は時としてストイックな写真表現に向かうこともあるが、「町」はいつでも「生きて」そこにあるということを忘れないで欲しい。

総評
 だいぶ寂しい「投稿作品」だ。ネットの中ではもっと気軽にどうでもいい写真が飛び交っているはずなのに、いざ写真作品と言うことになるとビビッてしまったのだろうか。それともあのアラーキーセンセイにこっそり見ていただきたい写真しか、本質的には存在しないということなのだろうか。この際、思わず興奮してしまう刺激的な鉄道写真でもいい。家族の切ない記念写真でもいい。この不思議で退屈なメディアの中を縦横無尽に駆けめぐることのできる、したたかでシリアスな写真はまだ当分の間出てこないのだろうか。  大西みつぐ(写真家)