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鶏卵紙を知っていますか?


1840年代後半、卵白を紙に塗布し、硝酸銀で感光性を持たせた現像のいらない焼き出し印画紙の「Albmen paper」が発明され、主流として広く使われるようになりました。
印画紙は、知識と気合いがあれば作れてしまうのです!
独特の風合いを持った鶏卵紙の製作方法を阪井さんにリポートしていただきました。


(1)印画紙の制作

卵白液
卵白500ml(約15個分)
28%酢酸2ml
塩化アンモニウム15g
精製水15ml

感光液
硝酸銀25〜35g
精製水250ml

 卵白と薬品を 流動性を良くするために1時間程撹拌しメレンゲ状にしたものを一晩寝かせ、ろ過したものを更に最低1週間、冷暗所で寝かせます。プリントサイズより一回り大きい紙[*1]を用意し、両短辺を5mm程度折り、つまみを作ります。卵白液をバットにあけ気泡、埃を楊枝などですべて取り除き、紙をそっと卵白に浮かせます。3分程経ったら端をつまんで、持ち上げ、吊して乾燥させます。[*2]このとき出来てしまった気泡は楊枝や紙の角を使って取り除き下辺に溜まる余分な卵白をふき取ります。ここまでは明室で作業可能です。

 銀を塗布する時は。表側を卵白面にして箱形に折り(紙の裏面に銀が付くのを防ぐため)、端からスムーズに浮かせ[*3]紙の中央を軽く押して気泡を追い出し、3分間置きます。持ち上げる時もスムーズに持ち上げ暗所[*4]で吊して乾燥します。

(2)露光から仕上げ金調色

A液
塩化金1%水溶液10ml
精製水750ml

B液
チオシアン酸ナトリウム10g
精製水125ml

定着
チオ硫酸ナトリウム200g
水1000ml

 銀を塗布し感光化した印画紙は、時間が経つほど感度が低下するので、乾燥後直ちに紫外線光源で露光します。鶏卵紙は焼きだし印画のため現像処理は行いません。露光した印画紙は約15分間流水で、白濁が無くなるまでリンスします。調色はA液とA液を全量混ぜ、精製水を加えて1000mlにします。使用する分だけバットにあけ5分から15分間様子を見ながら[*5]調色します。1枚ごとに新液を足していきます。定着は15分程度行い、水洗は30分程度行います。

[*1]紙の選択は薄手のケント紙や上質紙、木炭紙などが推奨されています。表面が滑らかな方が、サーフェイスに光沢が出ますが、あまりツルツルし過ぎていても卵白が剥がれやすくなってしまいます。

[*2]卵白や銀の塗布は浮かせる方法が比較的ムラ無く塗布する事ができますが、他に刷毛やガラス棒、ビーカーの底などを使って塗布する方法もあります。選択する紙によってやりやすい方法で使い分けて下さい。

[*3]銀の塗布の場合は浮かせる時点で気泡が付いてしまうと、後から取り除いても痕が残ります。最初に銀と接触する部分で、最も気泡が出来やすいので端からスムーズに浮かせます。銀の割合は10%〜15%です。銀の割合が多いほど濃度があがりますが、ムラが出やすくなります。

[*4]直射日光の入らない薄暗い部屋、または20W程度のタングステンランプで、照明された部屋で行います。

[*5]色調は紙の種類や液の疲労によってかなり変化します。


Reported by Miche Sakai.
E-Mail: KFE03107@nifty.ne.jp (Michie Sakai)
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