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写真ブーム時代の高校写真部

東京都立大学附属高等学校写真部に聞く


 東京都立大学附属高校は目黒区八雲の閑静な住宅街の一角にある。かつては同じ敷地内に東京都立大学があり、一風変わった自由な校風で知られていたが、現在は都立大も移転し入試制度の変更などにより、普通の都立高校になっている。現在でも制服や校則といったものもなく、自由な校風は受け継がれている。
 生徒の中には茶髪どころか緑色の髪の毛まで見かけ服装も様々。制服風の格好をしている生徒がクラブ系の格好をしている生徒と楽しく会話をしていたりする光景があちこちで繰り広げられている。多種多様という言葉が良く合う高校だ。
 写真部は現在部員20名。そのうち17人が女子部員だという。部長の桑原さん(写真)によるとヒロミックスの影響が大きいとのことだ。今年の新入部員13人のうち12人が女子とのことで、納得がいく。
 学校から消耗品代として予算が7万円程度出るため、モノクロの印画紙・フィルムなどは無料で利用できるという。暗室は非常階段の下にOBが昔手作りで作ったものということで、非常に狭く湿気も多く、あまり良い環境とは言えない。その代わりに防湿庫や乾燥機が装備され、すこしでも環境を良くしようと言う配慮が見られる。また、冷蔵庫、CDプレイやー、電気湯沸かし器などもあり、かつては部員が暗室内で鍋物をしたという伝説も残っているそうだ。
 活動は個人活動が主で、暗室を各自自由に使い写真を現像している。部全体での活動としては、撮影会を夏休みに2回行い、その他にクラスマッチ(体育祭)などの行事撮影を行っている。
 そうやって撮影された写真は、年に一度記念祭(学園祭)で写真展を行い発表していく。今年はなかなかの盛況で、カラーテープや色紙などを使用した色鮮やかな展示が好評だったという。
 撮影するジャンルは様々だが、最近はコンパクトカメラで日常をスナップする写真がほとんどとのこと。やはりここにもヒロミックスの影響が多いように感じられた。またほとんどがモノクロ写真であり、お金があまりない高校生の実状を反映している。部員は様々だが、かつての写真部につきまとっていた暗いイメージが丸でないことには驚いた。皆明るく、面白い生徒が揃っている。高校が渋谷や代官山・自由が丘に近いと言うこともあって、遊ぶことには事欠かないようだ。また、プリント倶楽部のシールをみな持っていて、色々なところに貼っている。高校生の日常にまで、写真は入り込んでいるようだ。
 こういった高校写真部の傾向はやはり女子高生を中心とした写真ブームの影響が大きいようだ。今後この写真ブームが持続するかどうかは分からないが、彼女たちの写真に対する自然なスタンスは変わることがないように思った。かつてのように写真に対して暗いイメージをもたれることはまずないだろう。今後彼女たちが成長し、どういった写真を撮るのか楽しみである。