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●スナップポートレート
 スナップとは瞬間的に人物などを撮影するテクニックだけど、この手法で人物を主体に写したのがスナップポートレートだ。ふつうのポートレートとどこがちがうかというと明確な区別はない。ただ、最初からポートレートを狙ったのでなく、チャンスにめぐりあったから、人物主体でまとめた、っていう感じかな。まわりの雰囲気を取り込んだり、あるいは相手の人物の瞬間的な表情を狙ったりするのがスナップポートレートだ。ポートレートっていうと、ちょっと長めの望遠レンズ、たとえば85ミリとか100ミリのレンズを使うのが定石だ。でも、スナップポートレートの場合にはスナップの一種だから、広角レンズでもいいし、超望遠レンズでもいい。また、かならずしも背景をボケさせる必要もない。ポートレートというと、ふつうはどうしても撮影会とか、モデルさんを依頼することになるけど、スナップポートレートは被写体や場所を選ばない。それだけ自由な撮影ができるわけなんだ。


写真1 海外取材のとき、知り合いの編集者をスナップポートレート。カフェでの撮影なので、できるだけ雰囲気を出すように50ミリレンズでまわりも取り込んだ。


写真2 お祭りの最中のスナップポートレート。混雑の中なんで、標準ズームレンズの望遠側(105ミリ)を使って撮影した。



●超高速シンクロ
 ふつうストロボ(フラッシュ)を使う場合には、同調発光するシャッター速度の上限が決まってる。これはストロボの性質とシャッターの構造からしかたがないんだ。ストロボの光は何千分の1秒という閃光だから、一眼レフのシャッターが全開になった瞬間だけ同調する。現代の一眼レフだと、1/125秒から1/250秒ぐらいまでが全開になるから、この速度またはそれ以下の遅い速度でないと同調しない。これをシンクロ速度っていうけど、特殊なストロボと専用の一眼レフを使うと、シンクロ速度を超えてストロボが同調する。その仕組みは、ストロボの閃光が一定時間持続するため、シャッターが開いて閉じるまで光り続けるからなんだ。これを超高速シンクロと呼び、発光の仕組みをFP発光という。この超高速シンクロで撮影すると、レンズの絞りを開けてストロボ撮影が可能だ。じつは、この写真用語の連載第1回の写真4のポートレートも超高速シンクロだった。


写真3 超高速シンクロで撮影すると、このように奥行きのある被写体をボケさせて、雰囲気を出すことができるんだね。これは50ミリレンズで絞りを開けて撮影。


写真4 かわいいアライグマを超高速シンクロ撮影。望遠ズームレンズで絞りを目一杯開いてストロボ撮影した。