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10月8日 諏訪之瀬島1日目

 6:20起床。身仕度を整え船付き場で待つ。
 天候は予想に反して晴。雲ぱらぱら、というお天気。ただし、風は結構ある。案の定、船は前日のように揺れた。
 船を待っていると、若目のオジサンが話しかけてきた。
 どこから来たの? 次どこ行くの? など、お馴染みの質問である。
 オジサンによると、東京から何人か移住してきていて、やはり、昨日のお嬢さんも東京の人だった。
 と、噂のその人が現れた。船の人に届け物があったのでやってきたのだ。彼女は今年の3月から住んでいるという。諏訪之瀬島には食料品店があるという情報もくれた。ひと安心である。朝食べたパンは半分食べた所でカビているのに気付き捨てた。彼女は缶詰もくれようとしたのだが、さすがにそれは辞退した。
 船の中で改めて朝食をとりなおし(冷凍タイプの2ケ入りホットドック350円也)、悪石島をやりすごして諏訪之瀬島へ上陸。
 船の中で自転車について話し合いが持たれ、通常手荷物5ケ分の料金の所を、全行程8千円弱にしてくれた。約1万円引きである。ああ有り難や。料金は、奄美大島と鹿児島がからむ所だけ通常料金で、それ以外は手荷物一個分の料金にしてくれたのだ。
 先に全料金を払い、全行程入金済みを示すシールを貼った。これは帰ってからもずーっと貼っておこう。
 先に船を下りて待っていると、自転車が船の荷下げクレーンによって吊り下げられておろされた。ちっ、写真撮り逃したぜ。
 諏訪之瀬島は、22平方キロもあるのに65人しか住んでいない。御岳(799m)の噴火により、全島民が脱出し、何十年も無人島になってしまったこともある。島の復活は明治になってからのことで、歴史は浅い。
 上陸後、まずは集落へ行くため峠をひとつ越え、食料品店を探す。
 集落をくまなく回ってみても見つからない。
 人に聞いても間違えた。
 食料品店は、普通の民家だった。鍵は掛かってなくとも誰もいないので、後程来ることにする。
 テントサイトは、地蔵の近くがいいと教えてもらっていた。水もトイレもあるという。
 たまたま地蔵に線香をあげに来ていたおばあちゃんと35歳くらいの男の人にテントサイトを聞くと、この裏当たりならどこでもいいと言う。トイレはそれで、その右に水道もある。と教えてくれた。早速草をかき分けトイレを確認。工事現場にあるような簡易個室タイプである。水道は、しかしこれが全然みつからない。
 男の人とおばあちゃんも加勢して3人で蛇口を探しまわり、ようやくみつけた。男の人の話では、半分くらいの高さにまで砂に埋まってしまっているという。あったはずの階段もなくなっているらしく、裏の砂山(というか、火山灰質の山)から流れ込んできているらしい。
 テントは、草のやや刈られた地蔵に近い所に張ることにした。守られるだろうか?
 地蔵は横並びで16体、どういうわけか、男女が肩を組んだ造りのもある。どれも古そうだ。よく見たらその男女のだけ石ではなくブロンズで、しかも線香が具えられているのはそれだけだった。(あとは湯飲茶碗に水のみ)断崖の多いこの島で、まぁ、そういうことなのだろう。
 男の人に駐在に届けるように言われていたので、テントを張った後出かけた。特に何か書かされることもなく、登山の前には入山届を出すように言われただけだった。まぁ、それに書くからいいのだろう。
 明日の天気を聞くと、すかさず電話で聞いてくれた。北東の風なので登山に問題ないらしい。北風だと火山灰がすごくて難しいという。
 食料品店に行って見るが、品ぞろえは乏しかった。接着剤は当然の事ながらない。
 缶詰やラーメン、レトルトカレーなど、お馴染みの食材を仕入れる。マーボー豆腐の素が沢山あったのに、豆腐がないのはどういう訳だ? パンが欲しかったので聞いたら、「もう終わっちゃったんだけど、これならある」と、冷凍個から菓子パンをいくつか出してくれた。明日の登山に欲しかったので、とりあえずひとつだけ買い、後2つは明日買いたいことを告げたら、8時に来てくれという。ちなみに、その冷凍パンは賞味期限切れであった。
 おやつを持って、自転車を身軽にして島内散策に出掛ける。
 「としま」が着く港ではない反対側の港で、昼食をとりつつ釣りをした。餌は魚肉ソーセージのカケラで、釣れる方がおかしい、というレベルだ。
 青空、風が気持ちいい。
 昨日に続き、また海亀発見。昨日のよりデカイし、明るいので種類も判別できる。アカウミガメだ。今度はすかさずカメラを準備する。浮上途中をデジカメで撮り、その後フィルムで撮った。残念ながら鼻を上げて息をしている所は目を合わせただけで撮れず終いだった。(「やべ」って顔していそいそ潜って行ったように見えて可愛い)
 結局1時間もたずに釣りに飽きて、移動。ヤマハが作って放置した滑走路を見に行く。丘を登り、道を曲がったらいきなり滑走路の上だった。荒れておらず、今でも使用可能なようだった。建物は一切ないけど。
 その後、「としま」の着く港近くの干潟を歩きまわり(なんでこんなにヒトデが多いのだ?)、堤防でたたずんだ。
 珊瑚は死んでいるものの、それなりに魚はいる。
 コブシメのような感じの、でもちっちゃいイカがいて、しばし双眼鏡(壊れていて単眼鏡にしかならないのだが)で観察する。足の中に魚を抱きかかえていて食事中らしかった。
 後、この日見た珍し物系としては、イタチ2匹とクイナの一種。クイナは、西之表島に沢山いるタイプともヤンバルクイナとも違ったやつだった。
 その他の話題としては、診療所について。診療所は全島にあるのだが、医師の方は、一ヶ月で全島ひと巡りするようだ。船に予定表が貼ってあった。船の都合により、一島3日程度。
 16時頃、再び食料品店を訪れたのだが、留守だった。
 仕方なく、前の路上に座って原稿を書き始める。時々子供たちが前を通ったり、島のひとが通ったりして、挨拶を交わした。
 40分ほど待ち、牛乳を買う。さっき迷ってやめた品だ。常温保存可能な1リットルタイプで、開栓後冷蔵庫保存しなくてはならない。もったいないのでテントサイトへ戻ってから全部飲み干した。げっぷ。
 ビールも買おうとしたら隣だと言われ、隣の民家で洗濯物を取り込んでいた若奥さんから買った。品物は、縁側脇に置かれた普通の冷蔵庫から出てきた。こういった商品は、どういう取り決めで扱われているのだろうか。販売免許はともかく(薬が雑貨屋で買えるし)、ちょっと気になる。
 夕焼けは今日も素晴らしかった。明日も晴れるだろう。
 月の出は深夜なので、どんどん暗くなる。雲がほとんどないのでなおさらだ。
 急いで原稿を書く。牛乳をガブ飲みしたせいで、腹はちっとも減っていない。
 それにしても、こんなに旅を満喫してますよリポートだと、こうしてる間にも働いていらっしゃる方々に反感を買うだろうか。ごめんね。
 原稿を書き、本を読み、それでもお腹はあまり減らず(下痢しないだけマシ?)、結局350ml缶ビール1本が夕食で、21時頃おやすみなさい。

防波堤から海亀発見! 見えるかな?